前置き

このSSは内藤2000さんが当サイトのキャラを用いて作成されたものです。
「煌盾装騎エルセイン」は提供している情報が少ない為、キャラの口調、設定などが管理人の作品と異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。
※イラストはSSに合わせて管理人が描かせて頂いたものです。

遭遇

 「アハハハハ どこ狙ってんの? こっち!こっち!!」

 「クッ!!」

……………………………………………………………

………………………………………

……………………

………

今から一時間ほど前、いつも通り登校中する学園の生徒たちの列のすぐ傍らに 何の前触れも無く『次元の穴』が大きな口を開けた。

ヤジ馬たちが見守る中、『穴』から次々に現れた 小さな女の子と十数匹のアリ人間たちは、あっけにとられ 固まっていた生徒たちへ 一斉に襲いかかったのだった。

大きな顎で手足の肉を噛みちぎり、手にした槍を突き刺してくる甲虫人に、凍りついていた生徒たちの時間が ようやく動き出す。

ほとんどの生徒たちは大声で悲鳴をあげ 我先にと逃げだす。 しかし、蟻人間たちの動きは獣のように素早く、その牙と槍には速効性の麻痺毒が有った。

 『穴』が開いてから、ものの5分と経たないうちに 平和だった朝の校庭は倒れた生徒たちによって埋め尽くされていた。

 「もぉ終わりぃ~~~~!? 手応え無さ過ぎぃ~~!!! ツマぁんなぁぁい!ツマんないよぉおお!!!」

 『穴』から最初に出て来た、奇妙な服を着た 小学生ぐらいの女の子が ジタンダを踏む。

異国の神官を思わせる 変わった形の服を着た少女は、抜けるように白い肌を持ち、病人のような精気の無い瞳と 帽子からハミ出た長い耳がひと際 目を引いた。

 「ギルファ!! 痺れさせたヤツを本部へ運ぶよ。糸で くるみな!」

少女のひと声で アリたちの動きが止まる。 大きくも 力強くもないが、よく通り 耳に染み入る不思議な声だ。

口調や声の高さこそ 見た目通り 幼い少女の声だが、声の内に含まれる どうしようもないほどの虚無感が 彼女の声を陽気さから程遠いモノに変えてしまっていた。

逃げた生徒をあらかた仕留め終え、恐怖に腰を抜かした生徒たちに にじり寄っていた甲虫人たちは、少女の号令でアッサリと踵を返す。

興味を失い ソッポをむくように離れていく蟻人間たちの姿に、少しだけ安堵しかけた生徒の上に 陰気な声が降り注ぐ。

 「こんなにたくさんは要らないからね。  逃げなかった御褒美に、運ぶ奴らの梱包が終わったら、お前らは生きたままギルファの餌にしてあげるョ。 楽しみに待ってな、アハハハハハハ! 」

絶望のカーテンが、聞いていた者たちの視界を閉ざす。

助かってなど、いなかった。 より大きな地獄の顎が、既に大口を開けて 自分たちを呑み込んでいたのだった。

 逃げ出したいのに脚に力が入らない。頭の中で意味の無い思考だけが空転し、涙で視界が歪む。

命令された蟻たちが口から白い糸を吐いて 痺れた生徒をグルグル巻きにしている。あの作業が終わった時が自分の最期なのだ。

腰を抜かし、逃げ遅れた幾人かは 己の運命を予期し、泣きながら壊れた笑顔でアリたちの行動を見守っていた。

シャキィィイイイイン!!

突然、小気味良い金属音が辺りに鳴り響き、作業をしていた甲虫人たち数匹が倒れる。

 「そこまでです! 生徒を置いて去って下さい。  さもないと… 倒します!!」

 倒れたギルファの中心には、緋色の鎧を纏った長い髪の少女が剣を構え 立っていた。

つい数瞬前まで、その場所には確かに生徒と化物蟻たちしか居なかったハズだ。 こつ然と現われた少女は、残ったアリたちが跳び掛かって来るのにも全く慌てなかった。

ヒュッ ヒュン ヒュン!

数体の甲虫人が槍を手に襲い掛かって来る脇を、少女はスレ違うかの様に疾り過ぎる。

剣を振ったようには見えなかったが、たったそれだけ動きで、 脇を抜けたアリ人間たちが そのまま倒れ伏す。

 「………死んではいません。 彼らを連れて、帰って下さい。」

少し哀しげな空気を纏って、少女剣士がつぶやく。 伏し目がちに己の剣に視線を送る少女は、まるで争いそのものを嫌悪し 悲しんでいるのかのようだった。

  しかし、そんな乙女の願いは天空からの声に虚しく完全否定される。

 「ギルファ 弱ぁ~~~~い!! 何やってんのぉ!? 邪魔者は即、排除でしょ? ちゃんとやんないと…… 分かるよネ?」

いつの間にか、校庭の十メートルほど上空に神官衣の女の子が浮かび上がっている。 謎の女の子の 空中からの檄に、大アリたちが ふたたび 真紅の剣士へと殺到する。

槍を構えた蟻が 六方向から同時に突撃し、更には 上空からも別の二匹が跳び掛かっている。

襲撃者自身の 相打ちを度外視した、隙の無い完全な包囲攻撃が少女剣士に直撃した。

八本の槍が少女の体を捉え、深々と貫く!  …いや、そう見えたのは一瞬の幻で、アリたちの穂先は少女の交差した両腕の手甲と 胴を覆う赤い鎧によって 全て受け止められていた。

 「無駄です。」   シュン!!!         ドウ! ドサッ ドサ!!

緋戦士の剣のひと振りで、八匹の魔蟲兵が一斉に弾け飛ぶ。 数メートルも宙を跳び 地面に叩きつけられたアリ人間たちは、いずれも立ち上がれずに 苦しげにモガき蠢めく。

一方、攻撃を受け止めた少女の鎧には、ヒビどころか ヘコミひとつ付いていない。 あれだけの衝撃を一度に受けながら 損傷ひとつ無いとは、呆れるほどの耐久硬度と言えた。

 「あなた達では私に勝てません。大人しく帰ってくだ…」

 「だっっらしないなぁ、もう!!  お前ら要らないッ!!」

 「ギッ! ギギギ!! ギイイイィィィィィ!!!!!」

空中からの陰気な声が、鎧少女の説得を中断させる。 虚しげな その声が響いた途端、地面に倒れていた十数匹のアリたちが一斉に苦しみ 暴れだす。 これまで終始無言だったギルファの口から、あからさまな苦鳴が漏れ出で、狂ったように手足をバタつかせている。

ボン!   小さな破裂音と共に 倒れていた甲虫人間の頭部が弾け、内部から体液に染まった白いイモ虫が外に出て来る。

 「きゃははははははははは! キレイ!キレイ!」

 「あ ……あ、貴方はあァァ!!!」  数瞬 突然の惨劇に固まっていた少女剣士が激昂し 、義憤の一撃が 部下を殺して嗤う小さな魔人へと伸びる。

見事な大跳躍と共に 振り下された鋭い斬撃は、しかし 虚しく宙を薙ぐ。

優雅な着地とともに振り向き 再び宙を見上げる鎧少女の視線が、昏い瞳で自分を見下ろす蟲使いの少女のそれと 激しくぶつかり合う。

 「きゃははは ハッズレ~~!! そう言や、リコッツォの奴が死に際に何か言ってたね。

君がエルセインちゃん? 僕、フィリー。 『降魔組曲 第四儀曲』 。よろしくね。 …でもって、バイバ~~イ♪」

声の後半は 少女の背後から聞こえてきた。

背筋を疾る強烈な悪寒を感じるのと、反射的に肉体が前に跳びだすのとは、ほとんど同時だった。

地面を転がりながら反転すると、たった今まで自分が立っていた場所の背後にフィリーと名乗った魔少女の姿があった。

 「ありゃ?意外と素早いねェ。 それとも勘?」

言いながらフィリーは無造作に間合いを詰めて来る。

 あまりにも無防備な その姿に、剣尖を向けるのを躊躇らった瞬間、白い蟲使いの姿が霞む。

 「!」  勘だけで首を動かしたエルセインのすぐそば、彼女の頚動脈があった部分を 正確無比な貫手が穿ち過ぎる。

 (「なッ!? そんな!!  目が、……追い付かない!?」)

改めて ゾッとしながら、剣士が距離を取る。

嗤いながら距離を詰めて来る蟲使いの動きは速くはない。 というより、ハッキリと言って、遅い。

 それなのに、気付いた時には既に 易々と刃圏の内側に潜り込まれており、精確に急所に打ち込まれて来る攻撃を躱すのが やっとだった。

反応し切れなくなった瞬間の映像が頭をよぎり、少女の背を冷たい汗が伝い落ちる。

しかも 何とか攻撃を外した後、体の崩れた魔少女の手足を狙い 繰り出した反撃は、「捉えた!」との確信を裏切り、いずれも空を切るばかりだった。

 (「…ま……まさか…幻影!?」)  思わずそう考えたくなるほどの捉え所の無さだが、頚動脈を襲った一撃の風切り音や 彼女の持つ超知覚能力が、目の前の幼な子が幻体ではないと告げている。

残された手段は 攻撃を受け止めてから 捉える事だが、剣士の体の芯を貫く 凄まじいばかりの悪寒が、頑くなに この方法を取る事を拒否させていた。

 (「……何なのかは分からない………でも アレを受けちゃダメだ…………絶対……」)

極限の集中力で、死角から飛び来る不気味な攻撃を ギリギリで避け続ける。

 「ハァッ!!」   しかし、明らかに蟲使いよりも速いハズの少女の剣は、どうしても相手を捉える事が出来なかった。

 「無駄♪無駄♪ そんなトロい攻撃 当たんないってば。 そのバカみたいなデカ乳、邪魔なんじゃない!?」

 「ッな!?」   ブンッッ!!!   自分でもコンプレックスに思っている胸への口撃に、ついカッとなった少女は思わず大振りの攻撃をしてしまう。

 難なく躱し、剣士の背後へ廻り込んだ魔少女の瞳が怪しく輝く。

 「!? しまッ…」  ズドガァァァッッ!!!!!

 「うぐわああああああああぁぁぁっっっ!!」

信じられないような衝撃を背に受け、エルセインが吹き飛ぶ。 地面に叩きつけられて十メートル以上バウンドし、固い大地を削らんばかりに擦り滑って、ようやく停止する。

ほとんど校庭の端まで吹き飛ばされ、捨てられた人形の如く横たわる少女に 幼い魔人の声が降りかかる。

 「痛ったぁぁ~~~~~~~~いっっ!!! 何、コイツ? 硬過ぎぃぃ~~~!!」

 余裕なのか 自信なのか、フィリーは倒れたエルセインに一瞥すら与えず、うずくまって己の手を見ている。

追撃されていたら間違い無くアウトだったろうが、悠然と歩いて来る魔少女が再び戦闘距離に入るまでに エルセインはかろうじて立ち上がり、剣を構える事が出来た。

 (「……人間の……動きじゃない?…………関節?…………」)

朦朧とする意識で 敵の攻撃を分析し、何とか攻略法を模索する。

決して速くはない。 しかし、魔蟲使いの不規則な動きは まるでハエのように予想を裏切り、見る者に消えたかのような錯覚を与えるのだ。

典型的なヒューマノイドタイプの体躯を持ちながら、フィリーの関節は通常の人間とは全く異なる方向に動き、考えもしないような方向から襲い掛かって来る。

 (「……よく見て……チャンスを待つんだ。 それしかない。」)

先ほどのダメージは深かったが、反撃を諦め 防御に専念する事で、まだかろうじて 相手の攻撃を躱す事が出来た。

今はただ、身体が回復するまで ひたすら逃げ廻るしか、選択肢が無い。

攻撃を避ける為にも 反撃を当てる為にも、相手の動きをよく見て 一刻も早く魔少女の動きを見切る必要があった。

 (「……な、……何!?…………なに…か……が…………おかし…ぃ……」)

魔人の攻撃を躱し続ける少女剣士の身に、異変が起きだしていた。

何故かフィリーの動きを凝視すればするほど、徐々に意識が遠のいてゆくのだ。

 「やっと効いてきた? もぉ~ 鈍いんだから!」

数メートルと離れていない魔少女の顔が歪む。正常な機能を急速に失いつつある視覚に、フィリーの帽子の目玉模様だけが異常にハッキリと認識される。

 「エルセちんが気付いた通り、僕の関節は蟲並みに自由に動くの。 皆 それを見切ろうとして、 いつの間にやら この催眼紋のトリコ…って訳♪」

 蝶類の一部には、自分の何十倍もある鳥を恐れ 戦慄かせる、眼球状の紋様を表皮に持つ種が存在する。

どうやら蟲使いの少女の帽子紋は、その何十倍も強力な催眠作用の魔力を持っているらしかった。

虚しそうな、それでいてひどく愉快そうな声が脳内に木霊する。もはや少女剣士の瞳は魔人の眼紋以外、何ひとつ まともには映していない。

 (「マ、マズい」)   ピト。  ドゴオオオオオオオオォォォォォン!!!!

胸に何かが触れた瞬間、先程の倍以上の衝撃が 聖剣士の身体を一気に吹き飛ばす。

校庭の端から端まで 束の間の空宙遊泳を果たした少女は、地面に叩きつけられた衝撃で意識を取り戻す。 吹き飛ばされた瞬間に エルセインは気を失っていたのだ。

 「う………う゛あぁぁ…………」  全身が軋みをあげ、もはや何処が痛いのか 痛くないのかも よく分からない。

 二本の腕で肘をつき、何とか立ち上がろうとモガくが 体がまるで言う事を聞いてくれない。

 「グ、グウうぅぅ」  強固だったハズの彼女の鎧は たった二発の攻撃で見る影も無い程、ボロボロにされていた。

 あちこちがヒビ割れ 剥がれ落ち、強烈な二撃目を受けた胸部装甲は跡形も無く弾け飛び、少女の豊かな乳房を余す所無く外気に晒け出していた。

あまりの衝撃ゆえか 歪んでいた視覚は正常な機能を取り戻してくれていたが、ほんの少しでも気を抜けば、たちまちに意識は深い闇の底に呑み込まれてゆくに違いない。

気絶という甘美な誘惑に 必死に抗らいながら、エルセインは気力を振り絞って 何とか立とうと足掻き続ける。

 「きゃははははは♪ カッコ悪~~い!!  思った通り、催眠中は防御力も下がっちゃったねぇ、ぷくくくく!」

未だに立ち上がる事さえ出来ない 緋色の剣士のすぐ傍らに、蟲使いの少女が浮遊したまま寝そべっている。

余裕たっぷりの その瞳は、ネズミをいたぶる猫そっくりの残虐な光を煌々と 灯していた。

 「実は最初、エルセちんの事 知らないフリしたの、嘘なんだ。本部に帰還した時、リコッツォの奴 瀕死で口もきけない状態だったからさ…」

 魔少女の昏い瞳が過去の悦びに歪む。

 「死にかけのアイツを僕の蟲たちに食べさせたんだ。 ロクに抵抗出来ないクセに、最後の最後までヒーヒィー泣き叫んじゃってさぁ。 いや~楽しかったなァァ、アレは。」

暗黒の歓喜を思い浮かべ、少女の眼から 狂った享楽の光が滲み出る。

小さな身体から染み出す 障気のような腐った狂気に絡め取られ、臥した聖剣士がブルブルと震える。

 「だからヤツの力と記憶は僕が受け継いだってワケ。 もちろん、エルセちんの秘密の弱点も…ね♪」

一転して、「天使のような」という言葉がピッタリの邪気の無い笑顔を向けられたエルセインは竦みあがる。

この極上の笑みをもってしても とても隠し切れない、魔少女のドス黒い内奥を垣間見た気がした。

フィリーの視線に誘導され、少女剣士が自らの胸へと視線を落とすと、

そこには先刻の白いイモ虫が、胸先の突起を目指して這い動いていた。

プスッ!!  「 ヒ!! うがぁああああ!!?」

傷だらけの少女が反応するより早く、魔蟲使いの眷族は柔らかな肉豆へ 尾先の針をひといきに突き立てる。

 しかし、少女の神経に吹き荒れたのは、むしろ苦痛よりも それに十倍する官能の疼きだった。

 「!? ~~~~~~~~~ッ!!! …あ、あ゛ぁぁ………」

 「ヒャハハハハハハ♪ 本当だ。ちょ~~っとイジっただけなのに、もう悶えてる。 魔王様の血を引くクセに、だっっらしなぁ~~~い!!!」

 「なッ!? ち、違…」  プスッ!! チュウウゥ~~~~ 「っっっ!! ~~~~~~~~~~~~ッ!!!!」

少女の言葉を遮るように 反対側の淫豆にも蟲針が穿たれ、怪しい液毒が注ぎ込まれる。

 「違……何? 言いたい事が有るんならハッキリ言いなよ。 …ちゃんと言えるモンならね♪ キャハハハハハハ!!」

フィリーの言う通り、双つの蕾を虐め犯された少女剣士は湧き上がる嬌声を堪えるのに精一杯で、胸の蟲魔を取る事すら出来ない。

そもそも蟲を取り除く為には、片肘で己の上体を支えなければならない。

しかし、例え乳虐の妨害が無くとも 疲弊し切った今の彼女にそれが出来得るかは怪しかった。

エルセイン

 「~~~~~~っ!! ッッ!!!  ~~~~~~~~~~~~~ぉ!!!!!!」

必死に抵抗した所で 蟲たちの注入が止む訳でもなく、胸の疼きと淫熱は、刻 一刻と高まり続ける。

明らかに蟲自身の体積を 大幅に上回る量の毒液を注入され、桜色に充血した雌肉を震わせながら聖騎士が悶え啼く。

 (「な、なにコレぇぇ!? お゛あ゛あ゛ああぁぁっっ!! 出てッ!!出てるぅぅゥ!!…… …ンぁ!……むねっ……胸の中にイイぃィィイヒイいイイぃィィィィっっ!!!!!!」

 「キャハハハハハハハハ! どうしたの、お姫様ぁ? そんなんじゃ 大事なお友達を助けらんないよォ。」

 「 …え?  ッ!!」  フィリーの言葉に促され 視線を向けると、生き残った4匹のギルファたちが糸で巻かれた生徒を担いで『穴』へと向かう所だった。

 「ダ、ダメです!」 動かなかった筈の身体を叱咤し、ヨロヨロとだが赤の戦士が立ち上がる。 気力で繋いだ体に力を篭め、次の瞬間には『穴』へと向かって全力疾走していた。

 「ヒュ~~~♪ あんな体なのに速い、速い。 まだまだ たっぷり楽しめそうだねェ。」

フィリーの言葉が終わる頃には、エルセインは『穴』に戻ろうとするギルファたちを追い越し、『穴』の前に立ち塞がっていた。

 「させません!! 皆を下ろしなさいっ!!」 両手を広げて進路を塞ぐ深紅の騎士に、しかし ギルファたちは無造作に歩み寄る。

 「くっ!!」 2度目に吹き飛ばされた際、剣が何処かに行ってしまった為、今の彼女は素手だ。腕ずくでも学園の生徒を救出しようと、女戦士が拳を固めた刹那…

ドウッ!! 

ギルファのパンチが装甲の無い胸部へと叩き込まれる。

高まり続ける内圧にフルフルとわなないていた柔肉が、外部からの圧力によって大きく形を歪める。

 「ッッ!!! うわああぁ~~~~~~~~っ!!!!」

大きくのけ反る女戦士の胸に、続けざまにアリ人間の追い打ちがヒットする。

ファイティングポーズこそ取ってはいるものの、快楽に抗らうのが精一杯の少女は 腕で防御する事さえままならず、完全に 棒立ちのサンドバック状態だ。

 「そうそう。 まだ鎧のあるトコには効かないからね。」

 (「むねッ! 胸ダメええぇぇぇ!!! ンあぁ!! ふ、…防がなきゃああ………」)

ビシィイイ!!!   ドク ドク ドクゥ!! ドプ ドクウウウゥゥゥゥ!!!

 「はヒャああぁああああああああアああああああァああぁああああっっっっ!!!!!」

蟻人間のストレートが、ピンポイントで胸の魔蟲を射抜く。柔肉に埋もれたイモ虫は 腹いせとばかりに針先から大量の液毒をエルセインの体内に噴出した。

 「キャハハハハハ!!! よっっわぁ~~~~~い!! ギルファだって荷物持ってるんだよ? 全ッ然ダメ じゃあ~~~ん。」

先刻までの少女なら、たとえ何十匹居ようと問題で無かった敵にさえ 全く歯が立たない。

アリの攻撃は 担いだ生徒も下さず、完全な手打ちのパンチだったが、それ以上に 今は少女の弱点の方が脆過ぎた。

ビシッ ピシ! ビ!! バシッ!! ベチィィ!! ゴッ ボス!バシィィン!!!!  

 「ふぐっ!!  ッ!! あヒッ!ンあああああぁぁぁ~~~~~~~~~っ!!!!」

盛り上がった雌乳が 打たれて弾け、大きく揺れる。左右からの連打であらゆる方向に弾きまわされ、魔蟲兵たちの腕によって振り揺すられ 蹂躙される。

幾度となく魔液を注入された熱塊は はちきれんばかりに膨れ上がり、とどまる事を知らない内圧の高まりが 少女の使命感を根こそぎ灼き焦がす。

 (「かはぁっっ!! ダ、ダメ!このままじゃあ……」)

 「マセ・ル シェルド!!!」

気力を振り絞ぼり、緋の戦士が吼える。アリたちに向かって かざした両掌から光の奔流が溢れだす。

 「ギ! ギギ!?」

光は甲虫人を弾き、数歩後退させる。 少女の両手から放たれた光は膨れ上がり、彼女を中心とした半球状のドームを完成させる。

薄い光の膜は、エルセインと 背後の『穴』をスッポリと覆い尽くしていた。

 「 ハ……… ……ハァ………………ハァ………」

かろうじて立っている …といった状態の少女戦士は、荒い呼吸を繰り返しながらも ギルファたちを睨みつける。

ガッ!! ゴンッ!  「ギギっ!? ギィッ!!」

光のドームはアリたちのパンチにも小揺るぎもしない。おそらく、ギルファたちが何をやった所で 全て防ぎ切るだろう。

そう感じさせるだけの安定感を 少女のこの術は持っていた。

 「……ハ………彼らは………ハァ…………連れて行かせません。」

 少女の瞳に 使命の煌きが灯る。

決して激しくはないのに、どんな雨にも 風にも 決して負けず、絶える事無く燃え続ける 不断の炎。 そんな静かな覚悟が、戦士の眼差しの中に 意志の輝きとして見て取れた。

 「キャハッ!! カッコつけたって そんな術使うなんて『ギルファにも勝てません』って宣言してるのと一緒じゃん。 リコに改造されたエロ乳責められるの、そんなに良かったぁ~~??」

 「っっ!!」 幼い魔女に言葉で嬲られ 聖剣士の美貌が朱に染まる。輝く結界の内で 無防備に晒け出された美乳が、ピクン! と震える。

 本当なら 今すぐにでも腕で覆い隠したい所だが、この術には 発動し続ける為に 精神の集中と両掌を相手にかざし続ける必要があった。

先端の桜色の蕾を いまだ魔蟲に犯されながら、少女は友を救うべく奮闘し続ける。

 (「……この術なら あのコの攻撃も なんとか受け切れる筈。 いや! 絶対に耐えてみせる!!………ハッ!?」)

ビュルルルッッ  ビシッ!!ギュルルルルルルル!!!  「くぁああああっっ!?」

少女の背後に開いた『穴』から、巨大なイモ虫状の触手が数本 飛来し、守護剣士の肢体に絡みつく。 魔蟲使いの言葉責めは 少女戦士の注意を『穴』から逸らすための罠だったのだ。

防御結界を張り続ける為 前を向き集中していたエルセインは、為す術無く 瞬く間に生きた肉縄によって自由を奪われてしまう。

 「キャハハハハ!リコの記憶も有るって言ったでしょ~!? そんな弱点バレバレの術、通じるワケないじゃあ~~ん!!」

メキ! ミシミシィ  グググ ググ…  ミシ! ミシミシミシイイィィィ!!!!

 「~~~~~~~~~~っ!!!!  グ  かはぁ!!!」

 「大体、本部に通じる穴なんだから こうなるってのが予測出来ないかなァ!? まァ、どの道 コイツ等が居るから関係無いんだけどサ。」

パチン!

魔少女が指を鳴らすや、聖天使の胸に取り憑いた眷族が再び その猛威を奮いだす。

ドクン! ドクッ! ドクドクッ!!

 「ッッ!!ア゛アァ~~~~!!? むねェ!! 出、出て!!ふぐぅうううううっっ!!!」

触手に絡みつかれながらも、エルセインは結界を維持し、闘い続けた。

満身創痍の身体を締め上げられ、魔蟲の容赦の無い液毒攻撃にも屈さずに 術を発動し続ける。

自分が諦めてしまえば、全てが終わる。 学友たちは連れ去られ、何かとてつもなく凶々しい目に遭わされるに違いない。

 (「させない!! …皆を… …護るんだ!!………絶対ぃィぃいいイいいいッ!!!」)

 「ンもぅ! ホント、しつこいんだから。 そんなに お友達が大事? ……ギルファ!!」

フィリーの号令で アリたちが担いでいた生徒たちを下す。グルグル巻きに糸で巻かれたままの生徒が光のドームの周囲に林立する。

魔少女が呪文を唱えた途端、生徒たちの糸がスルスルと解どけ落ちる。 …彼らの目と股間を覆っていた部分の糸だけが。

 「見なよぉ! こいつ等、どいつもこいつもギンギンに勃起してんじゃん。人間なんて所詮こんなモンだよね~。」

ドプ!ドク ドク ドクゥゥゥ!!!! ゴパァァアアアアアッ!!

 「きひぃいいいィいいいいいィいいいいぃいいいィいいッッ!!!! 」

 「ま、こんだけエロい声聞かされ続けてりゃ仕方ないか。キャハハハハ!!」

パキィィィィィィイイイイインン!!!!

 ついに、澄んだ音を立てて 防御結界が砕け散る。 緊縛の守護剣士は四肢を封じられ 露出した乳峰を突き出した恥辱体勢のまま、級友たちの前で嬲られ続ける。

 「アヒィィッ!!! こん……こんなのぉ!! 止めッ! 許してえええエええぇぇェェぇぇッッ!!!!!!」

 「キャハハハハハハ! なに、いっちょまえに恥ずかしがってんのさ!? 気持ちいいクセにぃ~。」

 内側を薬液が通る度に、脈動の如く 針が微妙に径を増し、双つの頂点で甘い疼きが爆発する。 発狂しそうな激悦の中、皮肉にも少女の内に残ったわずかな理性が 恥辱の業火に責め焼かれ、肉体の感度を大幅に増幅させる。

 「うわっ!凄ッ!! 中に入れられ過ぎてパンッパンじゃん。 エルセちんエロ~~~~~い♪♪ 」

 破裂しそうなほど張り詰めた乳肉を、遠慮の無い手指が好き放題に圧搾する。 だが、どれほど内圧が高まろうとも 先端を塞ぐフィリーの使い魔が抜き去られない限り、少女に解放の福音が訪れる事は無い。

 「ほぉら! 指がこんなにメリ込むよ!! 面っっ白~~~~い!!!」

 「~~~~~~~~~~~~~~っっ!!!!! ッッッ!!!!! ~~~~~~~~~~~ぉ!!!!!」

もはや 声さえも出せないのか、被虐の変身ヒロインは魔少女の指責めに肢体を震わせ、痙攣するばかりだ。 大粒の涙がこぼれ落ちる瞳は既に焦点を結んでおらず、意識があるのかどうかも 怪しい。

 「えいっっ♪」  バチンッッ!!  

 「はぎゃあァあああアああぁああああアあああぁあああアあアアッっッッ!!!!!!」

クワガタの挟み状に変形したフィリーの指先が、破れかけショーツ越しにエルセインの肉芽を捻ねりあげる。 気絶しかけていた少女は、酷苦の気付けに 無理矢理 現実へと引き戻される。

 「ダメ ダメ!勝手に休んじゃあ。僕が遊ぶのは これからなんだからさ。 『おもちゃ』はちゃんと持ち主の言う事聞くモンだよ?」

 「……ぅ…て…………… ……ぁ…た………は……………………」

 「うん? なぁに、もう降参?」

 「…ど……どうして貴方たちは……そう身勝手なんです! 恥を知りなさい、恥をッ!!」

 「……………………………………………………………パチンッ!!」

ドプッ!! ドク ドク ドクウゥゥ!!!  ドプ ドプッ!! ドクううっっ!!! ゴポォっ!! ドププププッ!!!!!!

 「ヒギャアアアアアアアアアアアア!!!!!  ……ダメ!ダメ ダメええッ!!胸壊れるゥゥ!! ひィッ!! そんな入んないのぉ!無理!!無理ぃぃィぃいいイいいイイイッ!!!!!!」

ゴポゴポッ!!! ドプ! ドク ドク ドポォオオオオ!!!!! グプっ!!! ズポポ ヌプっっ!!! ゴプ ゴポ ドププッッッ!!!!!! ゴプ ゴパァアアアア!!!!!!!

 「みぎぃああああ~~~~~~~~~っ!!!!!! 止め、とメてえ゛え゛え゛えええええ゛ぇぇぇェぇぇぇ!! かヒぁ!ひ、ひぬううぅぅぅぅぅ!!!!!」

ドプ ドプ ドプドポォオオオオオオ!!!!!! ゴププゥゥゥウウウウッッ!!!!!!

 「あギぃィ!! とま!、止゛ま゛らなぁひぃぃいイいいいいいいイいっ!!!! はひゃアあぁあああァああああアあああぁああアア~~~~~~~~ッッ!!!!!」

 「キャハハハハハハハハハハハハ!! 皆の前で ハデに悶え狂ちゃってぇ~~  この は・じ・知・ら・ず♪  キャハハハハハ!!!!」

少女の許容量なぞ 微塵も考えていない悪魔の注入責めに、守護剣士の精神は完膚無きまで灼き尽くされる。

常人ならば何度も狂死するほどの獄悦を 脳髄の奥の奥まで叩き込まれ、絶頂による気絶と強制覚醒とを 何十回となく往復させられる。

永劫とも思えるような数十分が過ぎた後、完全に動きを止めた生贄の髪を掴んで持ち上げた魔少女は、エルセインの顔を覗き込む。

 「…………カ……………は………… ……ハァ………………ハァ……………」

 「まぁだ 生きてんのぉ~~? 本っっ当 シブトいんだから。」

完全に本気の口調で 空恐ろしい言葉を放つ蟲使いの少女の昏い瞳が剣呑な光を帯びる。

 「………………さ…………てェ…………。…………………がい………………」

 「ん?」

 魔人が何事かを為そうとした刹那、ハーフエルフの耳が 在るか無しかの獲物の声を捉える。

 「……だ……出させて………胸………苦しい……の…………………おねがい………」

 「ぷ! アハハハハ!!何それェ!? 正義の味方のクセに 母乳出したくって悪者にお願い? ダっさ~~~~い!!」

 「…お……お願いぃ………取って……コレ取ってぇ……………こ…このままじゃ…………おかしく……おかしくなっちゃうのぉ……」

 「キャハハハハ  いいよ♪取ってあげる。 もし、エルセちんが僕を満足させられたら、ね」

言葉が終わると同時に、突然 幼い魔人の姿が光に包まれ 霞みだす。

数秒後 凶々しい光が治まったあと、そこに立っていた魔少女の姿は 17,8歳くらいにまでに成長していた。

着ている者の成長に合わせ、頭身の伸びた僧衣の股間部に両掌をかざすと、服を突き破って フィリーの股間から毒毒しい色のイモ蟲が現れる。

 『ピィィーーーーーッ!!』

 「クス クス♪本気で相手してアゲる。 頑丈なエルセちん、出来るだけ長保ちして楽しませてね。」

白い魔女は嗤いながらゆっくりと獲物に近づいてゆく。 『穴』から出た触手に吊り上げられ、X字型に磔にされた緊縛ヒロインは 己の運命を予期し、蒼白な顔を力無く 左右に振る。

四肢を拘束され 身動きの取れない獲物の背後に廻り込んだ魔女の手が、虜囚戦士の両脚の付け根に忍び寄り ……

ビリッ! ビリ ビリィィッ!!!

少女の秘部を覆う純白の布が ひといきに剥ぎ取られる。 本来なら 持ち主の精神に感応し 鎧部分に近いほどの防御力を誇るその布地も、今は只の下着ほどの強度すら無かった。

ズグッッ!!! 「う゛あ゛あ゛あああぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~っっっっ!!」

前戯などまるで無しで、薄桃色の秘肉孔に極太の蟲ぺニスがねじ込まれる。 

度重なる乳虐凌辱によって 少女の秘裂は既にドロドロに潤みきっていたが、オーバーサイズの巨物を一気に突き込まれた膣腔が メリメリと悲鳴をあげる。

 「きひぃぃいいいィいいいいイいいいいいっっっ!!!!」

見た目に反し堅い外皮に覆われていた魔蟲の表皮は 刺のように小さな凹凸で満たされ、守護天使の肉洞を 我が物顔で掻きまわす。

 「あヒ! かはぁっっ!! ダメぇええええええっっ!!ゴリゴリするの ダメぇェええええェえええええエえええっっっっ!!!!!!!」

 「キャハハハハハハハハ!! いいね いいね♪ ノってきたよ~ それッ!!」

グリュッッ!!! 

 「アヒャアアアアアアアアア~~~~~~~~~~~~~~っっっ!!!!!」

ゴリュ!! グボッ!! ガッ ガッ!! グリリッ! メキメキ メキィィッ!!!!

 「ひぎゃああああああああああああああッッ!!!! …こ、擦れッ!! クゥーーーーーーーーーーーッ!!!」

 「アッハッハッハッハーーーッ!!! たっのしぃ~~~!! 」

 「おあ゛あ゛ああぁぁぁっっ!!! なかでッ!なかでえぇぇェェッッ!!脚動かさないでえええエえぇぇェぇ~~~~~~~~~っっ!!!!!」

 「まだまだ こんなモンじゃないよ? もぉ ギブアップぅ~!? 」

メリメリ メリィィ!!!  かぷッ!   グリュリュリュリュッ!!  

 「ッ!! 大きく!? 大きくなってぇええ!? ア゛~~~~~~~~~~~~ッ!!!」

少女の中で蠢動する侵入者が その身を震わせながら少しずつ膨らみ始める。キュウキュウと締め付けてくる熱い肉襞を 外皮のデコボコでこそぎまわし、膣壁を口に含んでは ブンブンと頭を振る。

 「はひぃいいいいッ!!  噛っ!噛むのダメえぇッッ!! ~~~~~~~っっ!!」

立ちバックの体勢で犯され続ける聖剣士は 汗だらけの肢体を限界までのけ反らせ、動かぬ身体を狂ったように跳ねたくる。

限界まで張り詰めた双美乳が あらゆる方向に揺れ動き、解放の歓喜が頂点の膨らみで弾ける。

 「イクぅぅぅっ!! 胸イクうううううぅぅっっ!!!  ッッ!? イけないっっ!!? 胸イくのにぃィィ!!イッてるのにィぃぃ~~っ!! イけない!! イけないよおオオォォォぉォォ~~~~~ッッ!!」

人外の凄悦に屈した戦士の肉体が、溜まりに溜まった魔力の母乳を 「射乳」として放出する。 しかし、先端の魔蟲がそれを無理矢理 押し留め、実際には ただの一滴たりとも漏れ出る事を許さない。

連続で吹き荒れる 目もくらむほどの放出感と、裏腹に どこまでも膨れ上がる双乳内の圧迫感…… 魔人のもたらす狂辱の嵐に、エルセインの精神は もはや崩壊寸前だった。

 「う゛あ゛あ゛ああぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~っっ!!!!! 出させてェええぇぇっっっ!!!! イぎたい゛の゛ぉぉォ!!! おねガいひい゛イ゛ぃぃィィ~~~~ッ!!!」

 「フフフ そろそろ限界みたいだね。 じゃあ…」

ズプッ!!  ズググググ…

 「ッッ!!!!  ア゛~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッ!! お!おしりいいいィぃぃ~~~~っ!!!  ……はいって…入ってくるウウゥゥゥ!!………おく………奥に゛ぃぃぃいいイいい゛いィっっ!!! 」

フィリーの人差し指と中指が 囚われの少女剣士の菊華を貫き、肛内をグリグリと 別々にかき回す。

先程まで少女の乳首をシゴき抜いていた左手は、再びスルスルと淫核の上へと移動する。

 「フィニ~~~~ッシュ♪♪」

バチィィィィィィィィィィィィィンンッ!!!!!

 

エルセイン

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッッ!!!!!!!!!!!!」

緋色の聖剣士はひときわ大きく跳ね、そのままの姿勢で達し続ける。魔女の指挟みは 挟んだ肉豆をグリグリと捏ねくり 引っ張り、法悦のただ中にある少女の意識を 更なる高みへと追いやり続ける。

 (「………ひぬ…ひむぅ…… ……わらひぃ………ひンじゃうううぅぅぅっっっ!!!!」)

ズドムッッ!!!!!!!!

 「ッ!!  かはァ!?」

突然の衝撃。 視線を落とした白い魔人は、己の胸から生える深紅の月弧刃を見る。

 「よくも…… 姉さんを!!」

 「なぁんだシェイラちゃんか… 今はイルディナスだっけ?」

背後から己の心臓を貫く少女に向け、フィリーが嗤いかける。

明らかな致命傷だが、もとからの顔色の悪さにも口調にも さしたる変化は見られない。

音も無く忍び寄り、誰にも気付かせる事無く 残りの配下を全て屠り 自分にも一撃を加えた黒い騎士に、魔女は称賛の笑みを贈った。

 「全然気付なかったョ。 強くなった? …それともエルセちんに集中し過ぎたのかな?」

虚しげな声が言葉を紡ぐ間に、大人化したフィリーの輪郭が崩れ、無数の蟲へとほどけてゆく。

 「分身!? バカな!! いつから!?」

 「クスクスクス シェイラちゃん、お尻が大好きだったモンねぇ~ エルセちんが羨ましかった? 今度は二人一緒に ゆっくり遊んであげるよ。 またね~~♪」

風と共に散りゆく分身が 不気味な予言を吐いて崩れ去る。

いつの間にか消えた 『穴』の在った場所を睨みながら、黒衣の戦士は高らかに響く蟲使いの哄笑をいつまでも耳に感じていた……。